『廃棄コスト』が企業の足を引っ張る理由
- KOBAYASHI

- 7月22日
- 読了時間: 4分

「社内の古いパソコン、そろそろ処分しよう。」その判断、本当に合理的ですか?
企業がIT機器のリプレイスを進める中で、見過ごされがちな『隠れコスト』があります。それが『廃棄コスト』です。
産業廃棄物としての処理費用だけでなく、保管スペースの圧迫、情報漏洩リスクへの対応、そして廃棄判断にかかわる工数までも含めれば、その負担は決して軽視できません。この記事では、使われなくなったパソコンを「ただの不用品」としてみなすのではなく、”資産”として再活用する視点から、企業にもたらされる経済的・環境的メリットを、改めて探ろうと思います。
廃棄するだけでは終わらない「見えないコスト」
パソコンを廃棄する際、多くの企業では次のようなコストが発生します。
・データ消去や破壊にかかる人件費や外部委託費
・法令に基づく適正処理(産業廃棄物)の対応費用
・一時保管のためのスペース確保(=オフィスコスト)
それに加えて、廃棄に関する社内稟議や事務処理の煩雑さもあります。
「処分するだけでお金がかかる。」それがIT資産の現実です。特に複数拠点を持つ企業では、現場での保管、運搬、確認などに多くの工数が割かれ、情シス部門を静かに疲弊させます。
廃棄の”その先”にある”可能性”
しかしながら、使われなくなったパソコン=価値がない、とは限りません。
これまでのnoteでも記しているとおり、近年では、「アップサイクル」という考え方が注目されており、適切な設備を施せば十分に業務利用できる機種もたくさんあるのです。
例えば、短期プロジェクト用の端末として、研修用の端末として、オンライン会議用としてなど・・・。これらはすべて、新たに端末を購入するコストを回避できる選択肢です。
捨てずに活かす、という選択肢が持つ3つの価値
1.経済的価値:新規購入コストの削減
いわずもがな、買わずに廃棄予定のPCを活用すれば、数万~数十万円の支出を回避できます。特に短期利用おや一時的な人員増に対しては、「とりあえず用意できる」柔軟性が強みです。
2.環境的価値:CO2排出と電子ごみの削減
「パソコン1台の製造に排出されるCO2は、約300㎏相当」というデータもあります。
再活用により、その排出量を回避できます。至極単純極まりない、当たり前のことですが、とても大切なことです。
3.ブランド価値:持続可能性への取り組みとして社外発信
近年では、ESGやSDGsへの取り組みが企業評価にも影響を与えます。
IT資産の利活用を明文化すれば、外部へのアピールポイントにもなります。
アップサイクルは修理でも廃棄でもない
「修理」とは、壊れたものを元に戻すこと。「廃棄」は、価値を放棄すること。
その中間にあるのが「アップサイクル」です。これは単なる延命ではありません。使える機種を精査し、必要な整備を施して再活用するという、経済性と合理性に富んだ選択です。
見直される”情シスの働き方”
情シス担当者は、パソコンの調達・管理・廃棄のあらゆる工程に追われがちです。
アップサイクルを導入すると、次のようなメリットを見込めます。
①資産管理の簡素化
②工数削減(廃棄手続きや設定業務の外注化)
③突発的な端末ニーズへの即応
「相手の現場が、自社のリソースに縛られず動けるようになる」ことは働き方改革の一助にもなるでしょう。
もう一度立ち止まって考える。「本当に”捨てるしかない”のか?」
企業の中で、役目を終えたように見えるパソコン。それを「処分するしかないもの」と決めつけていませんか?
廃棄にはコストがかかる。でも再活用には価値が生まれる。「使わない」は「使えない」とはまったく違います。そして、「使えるかもしれない」と考えたその時から、企業のIT資産戦略は一歩進化します。
再活用には、パートナー選びも重要
もちろん、廃棄予定のパソコンを社内で再整備・再活用するには、ハードウェアの知識やソフトウェアの管理、セキュリティ対策といった専門性が必要になります。
「やりたくても、うちではそこまで対応できない…。」そんな企業にとって頼れるのが、外部のアップサイクル専門業者です。単に「パソコンを捨てない」という話ではなく、「捨てなくてもいい仕組み」を外部にゆだねるという発想。
それが、今の時代に合ったIT資産戦略と言えるのではないでしょうか。
この記事では、今まで何度もお話ししたような記事を、敢えてもう一度書きました。
とても大切なことだからです。「アップサイクル」や「SDGs」という言葉が一般的になってきた今形骸的にならずに、その真意をもう一度きちんと考える機会になればと思います。




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