削除しないデータが地球を汚す? カーボンゼロの落とし穴「デジタルごみ
- KOBAYASHI

- 2025年12月26日
- 読了時間: 3分

環境配慮の盲点は、オフィスの外ではなく「中」にある
企業が脱炭素やカーボンゼロを語ることは、もはや特別なことではありません。
LED照明への切り替え、ペーパーレス化、再生可能エネルギーの導入。
こうした取り組みは着実に進んでいます。
一方で、ほとんど意識されていない環境負荷があります。
それが、日々の業務の裏側で増え続けているデジタルごみです。
デジタルごみは「見えない」だけで、存在しないわけではない
デジタルごみとは、すでに使われていないデータやファイルを指します。
退職者のフォルダ、重複したバックアップ、更新されない共有資料、不要になったメールや添付ファイル。
誰も触らないまま、保存先だけが残っているデータは、企業内に想像以上に存在します。
データは物理的なスペースを取らないため、問題視されにくい存在です。
しかし、保存されている限り、サーバーは稼働し続け、電力を消費し続けます。
削除しないという選択が、結果的にCO₂排出を生み出しているという事実は、あまり知られていません。
小さな積み重ねが、確実な負荷になる
イギリスの環境団体Carbon Literacy Projectは、1通のメール送信あたり約0.3グラムのCO₂が発生すると示しています。
単体では取るに足らない数値に見えますが、企業全体、年間単位で積み重なれば話は変わります。
保存し続けるデータ、送り続けるメール、無制限に残される添付ファイル。
それらが日常業務として当たり前になっている限り、見えない環境負荷は静かに増え続けます。
クラウドは「どこか遠く」で動いているわけではない
クラウドサービスは便利で柔軟ですが、魔法の箱ではありません。
その裏側では、データセンターが24時間稼働し、冷却と電力供給を続けています。
国際エネルギー機関(IEA)は、2026年までに世界のデータセンターの電力消費が現在の約2倍に達する可能性を示しています。
AIや動画配信の拡大を考えれば、この傾向が止まる理由はありません。
「容量を増やせばいい」という発想は、見えないインフラに負荷を押し付けているだけとも言えます。
デジタルごみが減らない理由は、怠慢ではない
多くの企業で、デジタルごみが増え続ける理由は単純です。
削除のルールが存在しない、あるいは曖昧なまま運用されているからです。
誰が消していいのか分からない。
いつまで残すべきか決まっていない。
「念のため残す」という判断が重なり、結果として整理されない状態が常態化します。
削除しないことは安全策のように見えますが、実際には管理コストと環境負荷を増やす選択になっています。
「消す」ことが、これからの環境アクションになる
ヨーロッパでは、Digital Cleanup Dayという取り組みが広がっています。
企業や自治体が一斉に不要データを整理し、デジタル環境を軽くする活動です。
不要なデータを減らすことは、サステナブル経営の一部であり、同時に業務効率の改善にもつながります。
検索時間の短縮、ストレージコストの抑制、システム負荷の軽減。
環境対策と業務改善は、対立するものではありません。
見えない場所を整えるという選択
本当に必要なデータだけが残る環境は、システムとしても美しく、扱いやすいものです。
パソコンの動作が安定し、機器の寿命も延びます。
エコ、効率、働きやすさ。
これらはすべて、デジタル環境の整理という一点でつながっています。
見えない場所を整えること。
それは、これからの企業に求められる、ごく実務的で現実的な環境配慮の形です。




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