IT担当者は何でも屋ではない~限界を超える現場、その先にある損失とは~
- KOBAYASHI

- 7月26日
- 読了時間: 4分

「詳しそうだから」任される。それって適切ですか?
「あれ?またネットが繋がらない」「何もしてないのに、急にPCが動かなくなったんだけど」
「新入社員用のパソコン、今日中に手配してくれる?」
これらはすべて、企業のIT担当者が日々浴びている言葉です。
「あるある…!」と思いましたか?本来それらは、一人の人間が全て対応するべき業務なのでしょうか。パソコンの調達、初期設定、社員ごとの運用管理、ソフトのアップデート、トラブル対応、使用済みPCの廃棄対応――中小企業でIT担当者という肩書きがある人の多くは、このすべてを1人で抱えています。
しかも、その多くは本職が情シスではない、総務や経理、営業の「兼任」であったりします。
見えない業務、評価されない労力
当然、ITの専門知識があるわけではなく、情報セキュリティに関する研修もない。
にもかかわらず、「パソコンに詳しそうだから」という理由だけで全社のIT管理を任されてしまう現実があります。私もそうでした。
これが、企業にどれほどの静かな損失を生んでいるか、ちゃんと計算したことはあるだろうか…?
誰にも見えない場所で、誰かが疲弊している
かつて私は、ある企業のIT担当者でした。
まさに「エクセルで関数やマクロを作れるし、詳しそうだから」というだけの理由で任命されました。私は、営業事務との兼任で、毎月10人近くの入退社対応をしながら、パソコンの管理台帳も手作業で作っていました。入社1日目の社員がパソコンのログインでつまづけば、その問い合わせも当然私に来ます。
年末になれば古いPCの廃棄処分やらデータ消去やらで、残業続きでした。
「何が一番つらいですか?」と聞かれれば、私はこう答えたでしょう。
「わかってくれている人が社内に誰もいないことです。これは孤独どうこうの問題ではありません。企業として、リスクを「見なかったことにしている」という問題だと、私は思っていました。
「詳しい人がやる」で、企業は本当に守れるのか
多くの企業で、「ITに詳しそうな人」がなし崩し的にその役割を担っているが、情報管理・セキュリティ・廃棄ポリシーはその人個人のスキルに依存しています。
これはあまりにも危うい。なぜなら、
• 社内にITマネジメントのルールが存在しない
• 担当者が突然退職すれば、資産の把握もできなくなる
• 廃棄基準が曖昧で、情報漏洩のリスクもある
それなのに、IT業務の「見えにくさ」と「わかりにくさ」ゆえに、上層部は軽視しがちです。経営層から「何が問題なのか」が見えないまま放置される。
だけど、そのままにしておくことが、最もコストを生んでいるという事実は、まだあまり語られていません。
業務の属人化が企業のリスクを育てていく
本来、IT資産の運用は「一人が頑張ってなんとかする」ものではありません。社内のルール整備、外部との連携(レンタル活用・廃棄委託など)を含めて、経営判断として考えるべき業務です。なのに、いつの間にか「古いPCの整理やっておいて」「詳しいでしょ?」「廃棄処理の手配、よろしくね」そうやって、責任だけが積み重なっていく――。
見えない損失は、静かに積み上がる
IT担当者を何でも屋にしてしまう構造のままでは、企業には次のような損失が静かに、そして確実に積み重なっていきます。
【人的損失】
過剰な業務で疲弊し、優秀な人材が離職する。引き継ぎ不能なブラックボックスも増えていく。
【資産的損】
IT担当者に余裕がなく、パソコンの状態確認や整理が後回しになり、使える資産が把握されずに放置される。結果、新たな購入や不要な廃棄が増える。
【信頼の損】
データ管理の不備やトラブル対応の遅れが、顧客や取引先との信用をじわじわと削る。
つまり、誰かが頑張ればなんとかなるという状態こそが、企業全体にとって最も高くつく構造的コストなのです。・・・と言ったら、大袈裟でしょうか??
パソコン管理や運用、廃棄は「誰か一人の頑張り」で支えるものではなく、仕組みで守るべき領域です。属人化による損失を減らし、持続可能なIT運用を目指すなら、「社内だけでなんとかする」以外の選択肢にも目を向けてみてください。
私たちJ-PROUTは、アップサイクルパソコンのレンタルや運用サポートを通じて、企業のIT資産管理の負担を減らすお手伝いをしています。1台から、短期から、手間なく導入できる柔軟なサービスで、「現場のひとり情シス」も応援しています。




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