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パソコンの『寿命後』を資産に変える発想

  • 執筆者の写真: KOBAYASHI
    KOBAYASHI
  • 7月25日
  • 読了時間: 4分
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あなたの会社で寿命を迎えたパソコンは、どう扱われていますか?

たいていは、次のような運命をたどるのではないでしょうか。

「データ消去⇒廃棄⇒物理破壊⇒焼却や粉砕」それは、確かに最も管理しやすい選択肢かもしれません。

でも、本当にそれが最善でしょうか?

実は、パソコンというのは、使い終わった後の姿が一番面白い・・・と言ったら言い過ぎでしょうか。「壊れた」「もう使えないと判断された」

――その終わりのフェーズにこそ、企業が取りこぼしている資産が眠っているのです。



壊れたPCを『素材』として見るという視点

まず、物としてのパソコンを考えてみましょう。

アルミ、銅、レアメタル、ガラス、プラスチック・・・・。

「もう使えない、役に立たないPC」ではなく、素材の集合体として見る。それは、建築家が廃材を再構築してアートに変えるような視点ではないでしょうか?

実際、欧州では「E-waste(電子廃棄物)」を用いたアートや教育的展示が徐々に注目されつつあります。たとえば廃PCの基板やケーブルなどを再構築した作品が、デジタル社会と環境問題を問い直すインスタレーションとして、美術展や博物館で展示されるケースも。

こうした動きは、企業のCSR活動と結びつく可能性も秘めており、「廃棄物=リスク」ではなく、「廃棄物=メッセージの媒体」という視点を与えてくれます。



壊れかけPCは、技術継承に最適な教材になる。

もう動かないから意味がない、というのは、使う目的によっては間違っているといえます。

ハードウェアの構造を学ぶための教材として、壊れかけのPCはむしろ最高です。

新人エンジニア研修で、動作しないPCの分解・修復・仮組を体験させることで、「基礎技術」を定着することができる。実務では絶対に触れない「壊す・直す・失敗する」工程を、あえて用意された壊れたPCで体験する。

それは、マニュアルでは学べない「勘」と「構造理解」を育てるための教材としての終活と言えます。

ただし、ここで誤解してほしくないのは、本記事は「誰でも壊れたPCを、自由にいじっちゃおう」ということではありません。パソコンには、感電・発火リスクのある部品や、データ漏洩につながるストレージが含まれています。

再利用を検討する際は、安全管理・法的制約・専門家の確認が必要不可欠です。

それでもこういった提案をするのは、「壊れたら即廃棄」という固定観念に対して、一度立ち止まって考えてみる価値があるのでは?と問いたいからです。



『パーツ分解部』という新しい部署のかたち

もしも、会社の中に「パーツ分解部」があったらどうでしょう?

正式な部門でなくていいのです。サークルのような、週に1回、壊れたPCを分解して、使える部品だけをストックしていくような活動。それが、災害時や予算不足時に、社内のリペアカルチャー(修繕文化)を支える力になる。

パーツがある=修理ができる。修理ができる=買い替えなくてもいい。

そこに「社員の技術蓄積」「コスト削減」「自給力の強化」が繋がる。つまり、壊れたPCは「終わったもの」ではなく、「知識と組織力を試す装置」になり得るのです。



PCを「エネルギーの器」として見る

さらに視点を変えてみましょう。ノートPCのバッテリーは、通常は処分対象ですが、適切に管理すれば簡易電源や災害時のUSB給電器として応用できることもあります。

もちろん、これも誰もが気軽に真似できるものではありません。技術的知識安全確保が大前提です。けれどもここでもやはり、「パソコンは使えなくなったらゼロ」という思い込みを見直すことにこそ、未来の余地があるのです。



『再利用』ではなく『再想像』を

多くの記事が語る「再利用」は、どうしても節約や環境意識の話になりがちです。

けれども本質的には、再想像(Reimagining)なのではないか。企業が何を使い、どう扱い、どう捨てるか。それを立ち止まってきちんと想像することは、そのまま企業文化の鏡になる。

使わないパソコンをどう扱うか、という問いに「ただ捨てるだけではもったいない」と思えるかどうか。「使えない」の先に何があるか、想像できるかどうか。

それこそが、資産を守る力であり、持続可能性を支える視点だと思うのです。

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