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便利さの先にある、“万が一”へのゆるやかな備え

  • 執筆者の写真: KOBAYASHI
    KOBAYASHI
  • 9月9日
  • 読了時間: 3分
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「便利だからこそ、備えておく」という感覚

社内の仕組みがデジタルで整っていると、日々の業務は本当にスムーズです。クラウドでのファイル共有、チャットでのやりとり、リモート会議も即座に立ち上がる──。

今では当たり前のように使われているこれらのサービスのおかげで、私たちの働き方は大きく変わりました。

だからこそ、ほんの一瞬でも「使えない」という状況に遭遇したときの静かなパニックは、意外と強く印象に残るものです。アクセスできない資料、届かないメッセージ、動かないツール。どれも日頃の業務の中心にあるものだからこそ、わずかな不具合が全体に波及してしまいます。

もちろん、クラウドは悪者ではありません。むしろ、どんな時代にも欠かせないインフラとして、その価値はますます高まっていくでしょう。ただし、だからといって「何も起こらない」という前提で日々を回すことは、少しだけ危うい考え方かもしれません。


不安ではなく、余白としての備え

「リスク管理」と聞くと、どこか堅苦しい印象があるかもしれません。

でも、実際に現場で必要とされているのは、何かが起きたときに“その日だけなんとかなる”くらいの、ゆるやかな備えです。たとえば、勤怠データがクラウドにしか保存されていないのなら、週に一度だけCSVをダウンロードしておく。

共有フォルダの中でも特に重要な契約書類は、PDFでローカルに保存しておく。

メインのチャットツールが使えなくなったときのために、LINEグループを一時的な避難所として決めておく──。

こうしたちょっとした行動が、「今日は動けない」という日を「今日はなんとか乗り切れた」に変えてくれます。

すべてを二重化する必要はありませんし、大がかりなBCP計画を立てる必要もありません。要は、自社にとって本当に止まって困る業務が何かを把握し、その部分だけに“ゆとり”を持たせておくことが重要です。


備えている会社ほど、落ち着いて見える

社内の人間がバタバタしていないこと、それ自体が取引先からの信頼をつくるケースもあります。たとえば、「トラブルでツールが使えません」と連絡したときに、「ではこちらから資料を郵送します」「紙の控えをスキャンしてすぐお送りします」と対応できるだけで、相手の印象は大きく変わります。

それは決して、特別なIT投資の成果ではありません。日頃のもしもに対して、少しだけ時間をかけて準備しているかどうか。それだけの差です。効率やスピードが重要視される今だからこそ、トラブルに動じない落ち着きは、企業の見えない資産としての価値を持ち始めています。


今ある環境を否定しない、「ちょっとだけ足す」という発想

便利なものを手放す必要はまったくありません。むしろ、今ある仕組みやツールがしっかり機能しているからこそ、その土台に、もう少しだけ余裕を持たせることができるのです。すでにクラウドが浸透している環境であれば、「クラウド以外の道も知っておく」ことが、柔軟な企業体制をつくる第一歩になります。

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