ストレージの隠れた無駄を一掃!~速度が戻るのは掃除ではなく設計です~
- KOBAYASHI

- 11月7日
- 読了時間: 4分

業務用のパソコンが急に重くなるとき、多くの場合はストレージの空き不足が根っこにあります。空きが減るほど一時ファイルのやりくりに時間がかかり、更新プログラムも滞り、体感速度は落ちます。まずは掃除するより前に、どれだけ空きを保つべきかという「容量設計」を決めることが近道です。運用現場では、最低でも全体の10〜20%の空きを目安に管理すると安定します。
①まず「現状を見える化」して、減らす順番を決める
いきなり削除に走るより、どこで容量を食っているかを把握します。
Windows設定 → システム → 記憶域で容量の内訳(アプリ、一時ファイル、ドキュメント、画像、動画など)を確認。
業務ごとに大容量の元凶を洗い出す。(例:会計データのバックアップ多重保存、動画素材の作業用コピー、メールの添付ファイル肥大化など)。
90日以上触っていない休眠データを旗立て。移動候補として別保管に回します
このフェーズのゴールは、「何を消すか/何を移すか/何を残すか」の三択に整理することです。
②消してよいものと、触らない方がよいものを分ける
誤削除のリスクを避けるため、対象を明確にして進めます。
消していい代表例↓
一時ファイル・キャッシュ・縮小版サムネイル:設定の「一時ファイル」やストレージ センサーで安全に削除できます。
ブラウザのキャッシュ:容量節約効果が高め。ログアウトや履歴保持の方針に注意。
古いログ・アプリの残骸:アプリ提供元のクリーン機能か「アプリと機能」からアンインストール。
ごみ箱:自動空に設定(例:30日)で運用負荷をゼロに。
触らない/慎重に扱うもの↓
Windowsやアプリのシステムフォルダー、レジストリ直操作が前提のもの。
業務アプリの作業フォルダー(自動出力先の場合、削除で処理失敗を招くことがあります)。
メールのデータファイル(PST/OST):圧縮やアーカイブ機能を使い、手動削除は避ける。
安全に消せるところに絞れば、ヒヤリの確率はぐっと下がります。
③「移す」設計で、空きを恒常的に確保する
削除だけではすぐリバウンドしますが、移動先を決めると、空きを維持できます。
クラウドの「ファイルオンデマンド」:OneDriveなどは“必要なときだけローカル化”が可能。利用頻度の低い素材をオンライン化。
外付けHDD/NAS:動画・画像・アーカイブ用。部署単位の共有も合わせて整理(命名規則と格納ルールを決める)。
長期保管領域:契約書スキャン、過年度のプロジェクト一式などは“閲覧は稀だが残す”フェーズへ。
【移す前の原則】
●バックアップがあること。
●参照パスが変わると困るアプリはないか確認。
●誰がどこに移したかを記録する。
これらを守れば「探せない」事故が起きにくくなります。
④「速度が戻る」を継続する運用ルール
単発の掃除で終わらせないための定期運用に落としこみます。
しきい値:空き容量が15%を切ったらアラート。
自動化:ストレージ センサーで一時ファイルとごみ箱を定期削除。ダウンロードの整理はチーム方針に沿って。
アプリ棚卸:四半期に一度、未使用アプリのアンインストール。
添付ファイルの扱い:メール添付のローカル保存を原則やめ、リンク共有に一本化。
ログのローテーション:サーバー/クライアントともに保管期間を設定(例:30/90/365日)し、自動で古いものを圧縮・削除。
⑤実務で効くミス防止の視点
削除は小さく、移動は大きく:まずは一時ファイルとキャッシュから。大容量は「移す」で空ける。
共同編集の衝突を回避:クラウド同期中は大移動を避ける。同期完了 → 移動 → 再同期の順。
更新の成功率を上げる:Windows Update前に数GBの空きを作ると失敗が減ります。
見える化を続ける:ちょっと面倒ですが、部署ごとに「今月の空き率」「90日未アクセスの割合」を掲示。数字が出ると現場が動きます。
⑥よくある落とし穴を先回りで回避
写真・動画の重複:スマホからの自動取り込みとTeams/Slack経由保存が二重で溜まるケース。重複検出ツールの利用や保存先の一本化で解決。
プロジェクトの仮コピー放置:納品後は使用済み素材を長期保管領域へ移し、作業用は消す。
部署横断の私物ストレージ:個人外付けHDDは原則禁止。NAS(複数のデバイスでデータを共有できる装置)やクラウドに統一し、復元責任の所在を明確に。
⑦最小の手間で最大の効果を出す「今日やること」
設定 → 記憶域で内訳把握。
一時ファイル・ごみ箱を削除、ダウンロードを整理。
90日未アクセスの大容量フォルダーを移動候補にマーキング。
OneDriveのファイルオンデマンドを有効化し、低頻度データをオンライン化。
これだけでも、多くの端末は体感が軽くなります。重要なのは「掃除」よりも、空きを保つ仕組みを先に決めること。ストレージは倉庫ではなく作業台。常に片付く机は、作業が速いのです。




コメント