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グローバル企業が選ぶ“循環型IT調達”の潮流~国内企業が見落としがちなトレンドギャップを提起~

  • 執筆者の写真: KOBAYASHI
    KOBAYASHI
  • 7月11日
  • 読了時間: 4分
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「とりあえず新品調達」の常識、世界ではもう古い?


IT資産の調達といえば、「新品のパソコンを定期的に入れ替える」のが常識。そんな風に考えている日本企業は、まだまだ多いのが現状です。

しかし、グローバル企業の間ではすでに、循環型のIT調達が当たり前になりつつあります。

・製造段階でのCO₂削減を意識した製品選定

・使用後の再整備

・利用まで見越したサプライチェーン

・「廃棄ゼロ」を前提としたIT資産戦略

これらは単なる環境対策ではなく、ESG・コスト・ガバナンスの観点で採用されている、極めて実利的な判断です。

この記事では、「海外では当たり前」「日本ではまだ非常識」なIT調達のトレンドギャップに焦点を当て、なぜ今、国内企業も“アップサイクル”の視点を持つべきなのかを考察します。



欧州では「循環型調達」が制度化されつつある


EUでは「循環型経済パッケージ(Circular Economy Action Plan)」に基づき、製品の再利用・再整備・資源再活用を前提とした設計や調達が推進されています。特に公共調達では、以下のような要件が設けられています。

● 新品ではなく再生品を優先的に選ぶ

● CO₂排出の少ない製品を積極的に評価対象とする

● 製品の寿命延長(アップグレード可能性)が重要視される

その結果、再整備されたIT機器(リファービッシュPC、アップサイクルPC)が広く流通し、「中古」という言葉にネガティブなイメージはほとんど存在しません。



世界的企業がなぜ“循環型”を選ぶのか?


世界のIT大手も今、次のような戦略に注力しています。

● 製品回収とアップサイクルのスキーム構築

● 再利用部品による製品ラインの一部再構成

● カーボン・ニュートラルを前提とした設計思想

この流れはハードウェアに限らず、調達ポリシーそのものにも影響を与えています。循環型調達は企業の価値観の表明であり、持続可能性とガバナンス強化を両立する選択肢なのです。



一方、日本では……


国内企業の調達担当者にヒアリングを重ねると、以下のような傾向が見えてきます。

◆中古=スペックが不安」「不良が心配」という先入観

◆調達スピード重視」で、大手ベンダーの新品に偏る

◆ESG対応の必要性は認識しつつも、「何から始めてよいか分からない」

実際、日本のIT調達では、新品を一括購入→数年後に一括廃棄というモデルがいまだ主流です。

このやり方では、CO₂排出量も資源廃棄量も大きくなり、世界的な調達スタンダードとはズレが生じているのが実情です。



循環型IT調達は「使い倒す」だけではない


誤解されがちですが、アップサイクルや循環型調達は「ボロボロになるまで使い続ける」ことではありません。むしろ

・適切なタイミングで機器を回収し、再整備して再供給する

・使用目的に応じたスペック再設計(過剰スペックの是正)

・管理の見える化で、余剰、遊休資産を減らす

といった、戦略的な資産活用とオペレーションの効率化がポイントです。

アップサイクルPCの導入は、その第一歩として最適です。法人向けの整備済み機器は、検査済・保証付きで安定稼働し、導入実績も年々増えています。



今、日本企業ができるアクションとは?


まずは、すべてを循環型に変える必要はありません。

• 部署限定での試験導入

• サテライトオフィス向けの短期利用

• 新入社員用など一時的な需要に応じた導入

など、スモールスタートでも環境貢献・コスト削減・ガバナンス強化のきっかけになります。

これらの施策をレポートに記載することで、ESG評価の強化や取引先へのアピールにもつながります。



見えてきた『調達の新しい常識』


グローバルの視点で見れば、IT調達の常識は確実に変わりつつあります。

① 単なる価格比較ではなく、循環性と持続性を考慮した調達

② 機器の“買い替え”ではなく循環利用という選択

③ 「捨てずに活かす」ことが、企業価値を生む時代へ日本企業がこの潮流を見落としたままでは、やがて調達戦略そのものが時代遅れになる可能性すらあります。「まだ使える」ではなく、「また使える」社会へ。今こそ、調達部門からサステナブルな企業変革を。



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