壊れたPCがAIを動かす?~アップサイクルという逆転発想~
- KOBAYASHI

- 8月11日
- 読了時間: 3分

「AIを活用したい。でも、そこに中古のパソコンって本当にアリなんですか?」
これは、実際に寄せられたご相談のひとつです。正直なところ、こういった反応はとても自然だと思います。
「AIは高性能なマシンじゃないと動かない」
「中古パソコンはスペックが不安定で、業務用には心もとない」
そんなイメージを持たれている方は、まだ多くいらっしゃいます。たしかに、一昔前の中古パソコンはそうだったのかもしれません。でも今、私たちが現場で見ているのは、ちょっと違う風景です。
私たちは、企業向けにアップサイクルされたパソコン――つまり、一度使われた端末を整備・再生した機器を提供しています。それは「安いパソコン」だからではありません。
どちらかと言えば、「役目を終えた機器に、もう一度価値を持たせる」ことに重きを置いています。そのなかで最近増えているのが、「AI活用前提」の導入相談です。ChatGPT、Copilot、Notion AI、タスク管理ツールに自動要約機能……こうしたAIが日常業務に入り込んでくるにつれて、「端末側にどこまでのスペックが必要か?」という話題は、以前よりずっと現実味を帯びてきました。
でも実は、生成AIの多くはクラウド処理が中心です。ローカルの処理速度よりも、安定した通信環境と、ある程度のベーススペックがあれば、十分に活用できるケースがほとんど。
私たちが提供している整備済みの端末(例:Core i5以上、メモリ8GB〜、SSD換装済)で、社内のAI運用がストレスなく進んでいる事例は少なくありません。余りの動作の軽さに驚いて、わざわざお礼のご連絡を下さるお客様もいるほどです。
もちろん、中古であることへの不安はあると思います。
「壊れやすいんじゃないか」「セキュリティ面は大丈夫か」そうした声に、私たちも何度も向き合ってきました。けれど、実際にお届けしているパソコンの多くは「壊れたから手放された」ものではありません。
企業の入れ替えスケジュールによって、まだ使えるけれど、基準から外れたという理由で引き取られてきたものが中心です。
そこからプロによる内部清掃、部品交換、OSの再インストールなどを経て、「ただの中古」ではない、「安心して現場で使える状態」にまで再生しています。
ある意味で、「リスクを引き受けない中古」になっている、とも言えるかもしれません。
私たちがこの仕事をしていて思うのは、本当に問われているのは、スペックの高さより「道具としての信頼性」ではないかということです。
新品でも、初期不良はあります。ハイスペックでも、オーバースペックすぎて持て余すこともある。逆に、「必要十分」で、安心して業務を回せる端末が、整備された再生品の中に存在しているなら、それは十分に戦力になるのではないかと思っています。
AI時代になって、IT機器の選び方も少しずつ変わってきています。
性能だけではなく、調達のスピードやコスト、そして企業としての姿勢が、選択基準に入ってきている。「壊れたPCなんてもういらない」ではなく、「壊れたと思われていたPCが、AIを支えている」現場が、確かに存在しています。もちろん、すべての企業にとって最適とは限りません。でも、こんな選び方もあるということを、もしどこかで思い出してもらえたら嬉しいです。




コメント