情報漏洩は“ヒューマンエラー”から始まる?~社員教育、何をどう伝えるか~
- KOBAYASHI

- 8月27日
- 読了時間: 3分

それ、誰かに見られてるかもしれませんよ。
たとえば、電車の中で開いていた社内資料。つい、個人のスマホに転送した顧客リスト。カフェで開いたノートパソコン。
どれも悪意のない行動ですが、こうした日常のうっかりや「まあいいか」が、会社を危機にさらします。多くの情報漏洩は、サイバー攻撃だけではなく「人の手」でも起きている。それも、「そんなつもりじゃなかった」という小さなヒューマンエラーによって──。
多くの教育担当者が「セキュリティ教育が浸透しない」と悩みます。でもその前に、何をどう伝えるべきかをすり合わせできているでしょうか。
なぜ情報漏洩は「人」から始まるのか?
パスワードの使い回し、添付ファイルの誤送信、うっかり持ち出したUSBメモリ。セキュリティ事故の発端は、技術的な問題よりも人の行動ミスにあります。そして、その多くが「知らなかった」「教えられてなかった」「忘れていた」ことによるものです。つまり、教育で減らせるのです。しかも、コストをかけずに。
教えているつもりでも、伝わっていない?
「研修は毎年やっています」「マニュアルもちゃんと配っています」それでも事故が起きるのはなぜか。答えは簡単。本人の行動が変わっていないからです。形式的な座学やメールの一斉送信での通達では、「意識」は変わりません。だからこそ、伝え方の工夫が必要です。
何を伝えるべき? 社員が知っておくべき3つのこと
社員全員に伝えておくべき最低限のポイントは次の3つです。
「やってはいけないこと」がどれだけ多いか 例:個人アカウントで業務データを扱う、フリーWi-Fiで仕事する
「やったら何が起きるか」を想像させる 例:ミスひとつで会社にどれほどの損害が出るのか、自分の責任がどう問われるか
「これだけ守れば最低限OK」というルールを明確に 例:「社外持ち出し禁止」「社内SNSは業務時間中のみ」など、線引きと罰則の共有
これらは、「マニュアルを読む」だけでは身につきません。具体例を混ぜて、自分ごとにさせることが重要です。
どう伝えるべき? 社内教育の鍵は「リアルさ」と「繰り返し」
一度きりの研修で伝えきろうとするのは無理があります。社員の記憶に残すためには「定期的なリマインド」と「現実に起きた事例」を使いましょう。
たとえば他社で起きた漏洩事件を社内報で紹介したり、「これって大丈夫?」と判断が分かれそうなシナリオを定期配信したり、自社で過去にヒヤリとした事例を匿名で共有、といったことです。正解を教えるよりも、考えるきっかけを作る方が記憶に残ります。そして、こうした取り組みを、管理職が先頭に立って行うことが何より効果的です。
「教育している会社」と「守れる会社」は違う
「セキュリティ対策、やってます」と言うのは簡単です。でも、それを守れていない会社が多いのは事実です。社員教育は、意識改革とルール徹底の両輪でなければ効果がありません。伝えっぱなしで終わっていないか、定期的に見直してみてください。セキュリティは、専門家だけの問題ではなく、日常の判断の積み重ねです。
守るための日常を、仕組みにする
個人のうっかりが、会社全体の信用を一瞬で失わせる。そんなリスクがある今、情報セキュリティは「一部の人の責任」ではなく、会社全体で支える日常の行動の問題です。まずは、社員がなぜそのルールがあるのかを理解し、納得して守れる環境を整えること。そこからが、情報漏洩ゼロのスタートラインです。




コメント